新人王戦で里見女流が男性棋士を破る
2009-01-12


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初タイトルである倉敷藤花を奪取した里見女流は目下注目の的である。女流名人位戦では清水に連敗して惜しくも挑戦権を逃したが、まだまだこれから伸びていくことだろう。先週と今週の週刊将棋には里見のインタビュー記事が特集されている。奇しくも今週号には新人王戦で若手有望株の稲葉四段を負かして1回戦突破した記事が載っている。一口に女流が棋士、すなわち男性プロに勝つといってもそれは非常にハードルが高い。女流トップはいくつかの男性棋戦に参加することが許されているが、その勝率は2割程度なのである。当たるのは新四段など生きのいい若手が多いので勝つのは本当に大変なことだ。

今回当たった稲葉は、週刊将棋のデータボックスを見ると、勝率0.750全棋士中3位と勝ちこんでいる。大事な公式戦、相手が女流だからといって決して油断するはずがない。残念ながら現時点で棋譜は見られないが、週刊将棋の記事によれば、戦型は相振り飛車。中盤は稲葉が指しやすい分かれであったが、そこから里見は若いに似合わず辛抱した。将棋というのは、ちょっと苦しめのときの辛抱というのが難しい。ただ追随していくと徐々に悪くなるし、勝負手のタイミングが早すぎると負けを早めることにもなる。里見はここというチャンスを逃さずに正確に寄せ切った。いい手が一つ二つ出ただけでは、なかなか勝ち切ることはできないだけに本物である。

今回の対男性プロ初勝利は里見には大きな自信となったろう。佐藤新人王のインタビューにも「一発入れるだけの力があり、ちょっと怖い感じも。正直油断できません。」とある。若手プロの見る目は確かである。が、こんなに早く結果が出たとは驚きである。二回戦はもし糸谷が来れば再戦となる。どこまで戦えるか、今から楽しみである。
[将棋]

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