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ノストラダムスの大事典に「2038年」という項目が立てられている。2038年を世界が終わる年とする四行詩が存在する。日本でもカミーユ・フラマリオンの訳書で紹介されたことがあり、そこにノストラダムスの名が添えられている。この詩がノストラダムス予言集のテクストにないのは少し調べればわかる。ではそのソースはどこにあるのか。かつてノストラダムスサロンの「フラマリオンの創作予言」の記事のなかで、フラマリオンが小説のなかで創作した四行詩ではないかと考えたことがある。ところがジョルジュ・ミノワの本によれば1734年にオランダで騒動となる基になった予言なのだという。確かにミノワの邦訳490頁で引用されている四行詩はフラマリオンの引用したものと同一である。これは浅学な自分自身の不明を恥じるしかない。
ちなみに邦訳の『此世は如何にして終わるか』は、10年ほど前に国立図書館で閲覧したことがある。この本は1923年発行と相当に古いので確か書誌カードで探し当てた記憶がある。最近では、グーグルブック検索でフラマリオンの原書の該当箇所を読むことができる。
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「有名な占者ノストラダムスは占星術的予言者たちのグループの一部を忘れることなく作りだしていた。とりわけ人々は次に掲げる四行詩を彼(ノストラダムス)に帰していた。それは多くの注釈の対象となった。(原文と解説は略)この四行詩にはちょっとしたいたずらが加わっている。ノストラダムスの時代―彼は1566年に死去したが―には暦はまだ改定されていなかった。1582年より前なのである。」
フラマリオンの原文を読む限りでは、サンチュリの引用とはどこにも書いていない。むしろノストラダムスが後代の占星予言の先駆となっただけで、人々の噂話でノストラダムスの詩と見なされたという感じに受け取れる。もちろん小説なのだからそれでも構わないのだが、フラマリオンは1734年の騒動を念頭に置いた上で1943年、2038年、2190年を算出したのではなかったか。となればフラマリオンが創作した偽予言というのは完全に的外れといえよう。
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