第36期女流名人位戦第一局は里見が完勝
2010-01-24


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本日第36期女流名人位戦第一局が行われた。女流棋界の絶対王者である清水に目下売り出し中の里見が挑戦する注目のカードである。女流棋界のタイトルは5つであるが、対局者二人でそのうち4つを占める。里見が奪取すれば二冠達成となる。日曜日に対局が行われ、ネット中継があるとありがたい。家の用事を片づけながらもリアルタイムで戦況を観戦することができた。振り駒の結果、里見の先手で石田流三間飛車の作戦に出る。これまでは中飛車のイメージが強かったが最近は三間飛車も指すようになったらしい。関西には久保という振り飛車党のお手本になる棋士がいるので十分用意してきた作戦であろう。これに対して清水は第一局の余裕からか玉を固める作戦ではなくクラシックな棒金を選択した。

里見は序盤に課題があるといわれているが、この将棋をみる限りでは自然の手の組み合わせで隙を見せない。清水が32手目△8六歩から仕掛けたのが結果的に芳しくなかった。先手に8筋にと金を作られては居飛車側が苦しい。里見の指し手は冷静であわてるところがない。優勢を意識してからは丁寧に読みを入れて実にカライ指し廻しである。これは佐藤天や糸谷ら若手棋士との実戦のなかで身体で覚えていった技術ではないだろうか。これだけ手堅く指されると流石の清水も粘り切れない。終盤も最短であっという間に寄せ切ったのも見事である。投了図を見ると、自陣は美濃囲いの堅陣が残ったままで後手だけ終盤の大差である。こんなにうまくいくものかと思うほど里見の会心の勝利だった。中終盤のねじり合いにならなかったのは残念だが挑戦者の先行でますます盛り上がるはずだ。

清水としてはまだまだと思っているうちに土俵の外に押し出されてしまった感じだろう。年齢差が24歳というのは意外に大きい。普通に考えると親子ほどの差である。清水が現在至るまで女流のトップに君臨できたのは先輩に追いつき追いぬき、新進の後輩を厚い壁で跳ね返してきたからだ。先の女流王将戦でも若手の上田の挑戦を退けた。この女流名人位戦は今後を占うターニングポイントとなるだろう。里見の台頭をみすみす許すわけにはいかない。次局以降は是非とも意地を見せて若手の高いハードルになってほしいものだ。
[将棋]

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