エドガー・レオニのノストラダムス研究書の草稿
2016-07-16


ノストラダムスの大事典にエドガー・レオニの"Nostradamus: Life and Literature"(New York,1961)の草稿である"Michel Nostradamus: Life and Works"(1950)の記事がアップされた。鮮明な画像もついており、レオニファンとして少々衝撃を受けたこと否めない。実を言うとこの本がインターネット上の古本サイトに出品されているのは以前から認識していた。タイトルと年号から1961年の著書の草稿のコピーであろうと見当はつけていた。が、価格もそれなりでそれほどの価値を認めていなかった。

このたびsumaruさんが入手した2冊本はまぎれもなくレオニ本人の書き込みの入った貴重な草稿である。ノストラダムスの学術的研究において、レオニはそれまでの情報を手際よくまとめた本格的な研究書を初めて刊行したパイオニアといえる。インターネットもない時代にあれだけの情報をいかにして入手して整理していったのかずっと気になっていた。今回紹介された手稿はその思考プロセスのより深い部分に踏み込めるものとなろう。どうしてこんな貴重な資料が古書サイトに出回っていたのだろう?

インターネットを検索すると、南カリフォルニア大学のUSCライブラリに"Edgar H. Leoni papers"という資料がカテゴリごとにフォルダーで管理されているのに気づく。要約の欄に"Nostradamus: Life and Literature  (1961)"の著者とあるからご本人に間違いないだろう。レオニはNoelI.Gardeの筆名(Edgar Leoniのアナグラムになっている)で"Jonathan to Gide: The Homosexual in History (1964). "も出版したことがある。

ライブラリにはボックス6まであり、そのなかのフォルダーにレオニが収集した幅広い年代で様々な分野の書簡、手稿、写真、資料のコピーが保存されている。このコレクションはリサーチャーに対してオープンになっているが中身については確認していない。コレクションは1992年にレオニにより寄贈されたが2015年に追加のマテリアルが加わったという。ノストラダムス関係の資料は、Nostradamus (Leoni) circa 1942-1993 に収納されている。

おそらく"Nostradamus: Life and Literature"を執筆するにあたって収集した資料や原稿などが含まれていると思われる。自分の勝手なイメージでは、ここに"Michel Nostradamus: Life and Works"の原本があり、それを誰かがコピーしたものがインターネット上に出ているのではと思っていた。今回の記事を見ると、草稿に推敲のためのペン入れをしているもので世界に唯一の貴重な資料である。そのなかでレオニの思考過程も一部垣間見ることができる。

大事典の記事では有名な10-72の詩の画像が紹介されている。レオニは当初英訳の際にはAngolmoisをそのままの表記でアンゴルモアとして、脚注に 1) フランソワ一世 2) モンゴル人、ジンギスハーンのいずれかとある。ところが1961年の出版時には「モンゴル人の大王」と英訳されている。これがいったい何を意味しているのだろう。出版社との協議で読者にわかりやすい表現を採用したのか、今となっては確認するすべはない。


続きを読む

[ノストラダムス]

コメント(全4件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット