なぜ、嫌な奴ほどいい目にあうのか?
2009-04-15


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ゲリー・ラング&トッド・ドムク 金子一雄=訳 なぜ、嫌な奴ほどいい目にあうのか?―邪悪な人物に翻弄されない人間関係術 PHP研究所 2002年 を読んだ。原題は"CAIN AND ABEL AT WORK"(職場におけるカインとアベル)で2001年に出版された。カインとアベルと聞いてピンとくる人は聖書に慣れ親しんだ人だろう。旧約聖書の創世記に出てくる。兄カインは弟アベルを神への献げ物の件で自らの策略により殺してしまう。その後、カインは罰としてノドの地に追放されるが、結局幸福と富と権力を手に入れる。一方アベルは殺されて人生をめちゃくちゃにされた。この本では、話をものすごく単純化するために、便宜上善人をアベル型人間、悪人をカイン型人間と分類している。

どこの組織にもいる「カイン型人間像」をテーマに、実例をベースに多彩な分析を行っている。カイン型人間は邪悪で狡猾な性質を持っており、いろいろな手口で言葉を操り、嘘をついては自己保身に邁進する。その背後でいつも犠牲となるのがアベル型人間である。どこの組織でも一人や二人、すぐにカイン型人間が思い浮かぶだろう。本書では実例も多く取り上げられていて思わず膝を叩いてしまう話もある。しかし本文でも触れている通り実際の人間はそんな単純でもなく、アベル度とカイン度がある程度の割合で混ざり合っている。まずは自分自身を総点検、善良であるがゆえにいつも割を食っているアベル型、権力を握って常に悪だくみを働かせようとするカイン型がどれだけ入っているか・・・

本書ではいずれもカイン型の悪だくみが描き出されているが、似たような事象は自分たちの日常でも多かれ少なかれ起きているに違いない。それに対する処世術というのも理解できるが、最後のエピソードでは水戸黄門のごとく正義の味方のアベル型にカイン型が敗北する勧善懲悪のシナリオを書き足している。現実の世界ではそんなに事がうまく運ぶとも限らない。どちらかといえばアベル型を自認しているが、本日配布された昇給額がたったの3000円なのには驚いた。ほとんど中学生の小遣いでしかない。現実はカイン型人間が幅を利かせて富の配分を横取りしているのかもしれない。(涙)本書の良きアドバイスをぜひとも有効活用したいものだ。
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