第50期王位戦第四局は相矢倉になった
2009-08-04


禺画像]
[URL]
つい先日王位戦第三局が行われたと思ったら、すぐさま第四局が始まった。今回の西日本新聞社は深浦の地元ということもあってかネット中継に力を注いでいる。棋譜にもきちんとコメントがあるし、たくさんの画像や動画もアップされている。まさに至れり尽くせりの観戦環境が提供されている。そんな地元の力強い後押しを受けて深浦が踏み止まるか、木村が4タテで奪取するか、注目の第四局の1日目が終了した。昨日発売された将棋世界9月号には名人戦の総括記事が載っている。なにか随分昔のことのように思えるが、まだ1ヵ月ちょっとしか経っていない。ネットの速報性と比べると月刊誌のタイムラグはとてつもなく大きい。しかし月刊誌としての掘り下げ方によって別な付加価値をつけることもできる。

特集記事では「羽生善治、大いに語る」が二部構成になっている。羽生の発言はいろいろな本で扱われているので新味を出すのは難しい。ロング・インタビューの聞き手、浅川浩氏はいろんなネタを用意して切り込んでいった。が、羽生の発言を聞いていると将棋とは深奥の哲学であるかのような錯覚をしてしまう。やはりトップ棋士のなかでも特別な存在であるのは間違いない。王位戦を戦う深浦と木村はもちろん禅僧のような境地に到達してはいない。今が指し盛りと思えば兎にも角にも結果がほしいところだ。木村の▲7六歩に対して深浦は相手に戦型の選択を委ねる△8四歩、序盤は二人の波長が合って相矢倉の定跡形で飛ばしていく。森下システムから随分とレトロ調な将棋に見えたが、中盤は双方が穴熊を目指すという現代感覚の展開に切り替わっていった。

封じ手の局面は後手が穴熊に囲い、本来先手が攻めるはずの3筋に飛車をまわって反撃ののろしを上げたところ。先手は次に無条件に△3六歩と打たれると将棋が終わってしまうので何か受けなければならない。後手は△4二銀と引く形が鉄壁なので先手は大捌きを避けて押さえ込みたい。よって第一感は▲3五歩と位と取る手である。△3四歩と合わせてくる手にはどこかで▲4五桂がさく裂しそう。後手は黙っていると▲4五歩と自然に攻められてしまう。攻めの形の先手か、玉の深さの後手か、その辺りが勝敗を分けるポイントになると思う。
[将棋]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット