2018-04-11
細かいところでは本来「っ」となる表記が雑誌版では「つ」、同様に「ょ」が「よ」となっている。また雑誌版ではふりかなを多く振っている傾向があり、使用された漢字も旧式の表記のがところどころ見られる。雑誌版では本文中は一貫して予言を豫言と表記されている。目次の表記は予言となっているのはなぜなのだろう。また雑誌版と単行本版で決定的に異なるのは挿絵である。雑誌版の挿絵は3つ挿入されている。「星を見ながら書斎で予言を執筆するノストラダムス」(下の画像参照)「国王の家族に拝謁するノストラダムス」「患者を診察するノストラダムス」
単行本版では冒頭に「書斎で予言を執筆しながら眠り込むノストラダムス」が載っている。『探偵実話』では目次を見ると小説については挿絵を描いた人の名前がクレジットされているが三大特別実話読物にはついては特に表記されていない。ノストラダムスの肖像に関する資料が皆無だった時代に黒沼氏の文章からイメージを膨らませて描いたものだろう。予言者のトレードマークともいえるあごひげは描かれている。改めて読み返してみると、この作品は黒沼氏にとって推理小説から謎と神秘と怪異を追求するノンフィクション・ミステリーへ移行する大きな転機になったのではないかと思う。
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