S-Fマガジン 特集:世界は破滅する
2019-07-15



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S-Fマガジン2019年6月号

少し前になるが本屋に立ち寄って何気なく棚を見ると『S-Fマガジン6月号』が目に留まった。表紙には追悼・横田順彌とある。そこでSF作家の横田氏が亡くなったのを知った。ニュースによると今年の1月4日に逝去されたという。筆者はSF小説に特に詳しいわけではないが横田氏といえば古典SF研究のパイオニアとして知られ、『日本SFこてん古典』が代表作とされる。志水一夫著『トンデモノストラダムス解剖学』125頁には、横田氏が日本でノストラダムスが紹介されたのがカミーユ・フラマリオンの『此世は如何にして終わるか』(高瀬毅訳、改造社、1923)ではないかと述べていたとある。

何年か前に近所のショッピングセンター前で古本市が開かれていたとき『S-Fマガジン 1974年10月臨時増刊号』(特集:世界は破滅する!)を見つけたので購入しておいた。印刷された1974年9月当時は五島勉著『ノストラダムスの大予言』が大ヒットしている時期である。もともとSFにおいては破滅というテーマは親和性が強いので満を持して臨時増刊号という形で世に出したと思われる。まるまる1冊が特集なのでかなり重厚な構成となっている。表紙(画像参照)を見てわかるようにPart1〜4までの4部構成に特別大図解が加わって当時のブームを垣間見ることができる。

『ノストラダムスの大予言』の「迫りくる1999年第7の月、人類滅亡の日」という刺激的なキャッチフレーズがクローズアップされたことで、世界の終わりとか人類の破滅がもしも訪れるとすればどんなことが起きるのかSF小説の観点やレポートにより描き出される。横田氏は「特別版日本SFこてん古典 破滅がいっぱい」(152-165頁)というレポートを寄稿している。冒頭では五島氏の『大予言』の1999年の7の月に空から恐怖の大王が降ってくるだろうという話をハチャハチャに扱っている。そこから破滅をテーマとする古典SFを論じていくのだが古典の作品数が少ないのには理由があるという。

明治時代初期は、西欧の科学技術文化の導入に国家も国民も夢中で、とうてい”破滅”を考えるのは不可能だった(中略)新時代に明るい未来を夢見る一般大衆に破滅など思いつくはずもなかった。仮りに、やがて破滅がやてくるであろうことを示しても、その破滅・終末思想を受け入れる余地など当時の国民の頭にはなかったのだ。

そうして破滅をテーマとする古典SFを次々と紹介していく。162頁には大正12年に翻訳されたフラマリオンの『此の世は如何にして終るか』の紹介でノストラダムスについて触れている。

物語中に引用されている、人類の歴史開始から現代までの各時代の終末観、終末予言はたいへんに興味深く、その中には例のノストラダムスの大予言の解説もされている。確証はないがノストラダムス紹介の最初のものかも知れない。


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[ノストラダムス]

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