岡本和明/辻堂真理 共著『コックリさんの父 中岡俊哉のオカルト人生』(新潮社、2017)を少し前に読み終えた。一言でいうと、子供時代の追体験したような感覚に捕らわれる。波乱万丈な人生を送った中岡は超常現象の真剣な探求に明け暮れた。いわゆるオカルトと称される心霊、超能力、UFOなど科学で解明されていないものが本当に存在するのか研究を続けていた。個人の資産のすべてを費やして積極的に海外取材を行いそれを本に書いたりテレビ番組で紹介したりした。筆者にとって中岡といえば子供の頃に読んだ『恐怖の心霊写真集』(二見書房、1974)のイメージが一番強い。
霊魂が偶然写真に写っている心霊写真を見て思わず背筋が寒くなったものだ。この本を学校の友人に見せて大いに盛り上がったことを憶えている。振り返ると当時は『ノストラダムスの大予言』がベストセラーになり、ユリ・ゲラーが来日して「超能力ブーム」が起こるなど、本来隠れたものを意味するが怪しげなオカルト全盛の時代であった。もちろんテレビ番組の木曜スペシャルの特番などは家族で夢中になって見ていた。先ごろ国会図書館で子供の頃に読んだ懐かしい「小学六年生」を閲覧すると、ほとんど毎月のように中岡の超常現象にまつわる記事が載っていたのに気づいた。
当時はそれほど意識していたわけではないが筆者の世代は知らず知らずのうちにオカルトブームの洗礼を受けてどっぷりつかっていたようだ。中岡は超常現象について自分で厳格なテストによって検証したものしか本物とは認めなかった。その真摯な態度はオカルトを科学的に解明しようという純粋な探求心からきたものだ。筆者のノストラダムスに対するスタンスも中岡のこうした姿勢に感化されたところもあったと思う。中岡は超能力のなかで「未来感知現象」すなわち未来に起きるかも知れない事柄、事件などを、前もって知る超常現象を信じていた。
これはESPのなかで「プレ・コグニッション」(予知・予言)と呼ばれるものである。中岡は実際に予言者を訪問して検証した結果、この能力を持った人は半分もいなかったという。金儲けを目的に予知・予言を行っているインチキも横行しており、がっかりしたといっている。そのなかで空前絶後のプレ・コグニッションをした人としてノストラダムスを挙げている。『世紀末大予言』(二見書房、1990)の165頁には「(ノストラダムスの予言について)昭和34年に雑誌やテレビで紹介した当人として、今回この本をまとめるにあたり、やはりこの世紀の予言者について語らざるをえない。」と書いている。
雑誌はともかく確かに民放はこの年に開局しているが本当にテレビで紹介したのか?ちなみにこの本の初版は1987年で1990年の改訂初版いずれも中岡俊哉編著となっている。『歴史の旅』1992年4月号に寄稿した「世界の予言者たち」のなかでもノストラダムスに言及している。「私は、このノストラダムスについて32年前に「サンデー毎日」の誌上でとりあげ、彼の予言を書いた。それより一層詳しくは『テレパシー入門』で書いている・・・」この部分が気になって国会図書館で「サンデー毎日」を調査しようとしたが1960年頃のデータは電子データ化されておらず検索することはできない。
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