クロケット本の謎のフランス語版
2021-09-04


ノストラダムスの大事典の「Nostradamus' Unpublished Prophecies」が更新されている。そこでクロケット本のフランス語版、スペイン語版、ポーランド語版が紹介されている。クロケット本は他にも1997年に刊行された韓国語版もあるようだがそのタイトルは『ノストラダムスとファティマの予言』となっており、邦訳『ノストラダムスの極秘大予言 併録・ファティマの封印予言』(1991、大陸書房)からの翻訳なのかもしれない。この記事を見て手元にアーサー・クロケットの本の謎のフランス語版があったのを思い出した。この機会に備忘録として書き残しておこう。

ノストラダムスの大事典にも記事があるが、フランス語版としては1984年に出版された「L'histoire prodigieuse Les Propheties Ine〓dites de Nostradamus d'Artur Crockett.」(アーサー・クロケットによる 驚きの物語、ノストラダムスの未発表予言)、(以下アリストン版と記す)が一般に知られている。WorldCATの書誌情報によると、 Arthur Crockett(アーサー・クロケット)とともに Charles Narbonnet (シャルル・ナルボネ)なる人物の名前も著者に名を連ねている。原書には特にこの名前は見られないがフランス語訳の訳者なのだろうか。保管場所としてはリヨン市立図書館のみがリストに上がっている。また原書に予言詩の表記がないにも関わらず、登場する四行詩のレビューを記載しているのが目につく。随分まめに調査したものと思う。

この本はオンラインで検索してもヒットするが、実はもう一つのクロケット本の謎のフランス語訳「L'histoire secrete Propheties Inedites de Nostradamus par Arthur Crockett」(アーサー・クロケットによる 秘密の物語、ノストラダムスの未発表予言)が存在する。この本には書誌情報がどこにも書かれていないのでそのバックグランドは不明であるが仮にリング版と呼ぶことにする。リング版は以前紹介した1983年版と同様に製本はプラスチックリングで99頁の私家版といった装丁である。さらにページのなかに封書が挟み込まれていた。封書には手書きで Les propheties noires de Nostradamus(ノストラダムスの暗黒予言)と書かれパンフレットが入っている。その内容は英語版にあった一枚ペラのフランス語訳かと思いきや実に意外な構成であった。

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リング版は原書に忠実に翻訳されているがアリストン版とは全く異なるフランス語訳で、四行詩も英語版からのフランス語訳だが当然リング版とアリストン版は異なっている。レイアウトもまったく違うし、本のサイズはリング版がひとまわり大きい。アリストン版は72頁なのにリング版は99頁(520g)で多少ずっしり感はある。アリストン版には目次はないがリング版には英語版同様に目次が載っている。リング版は目次の項目が仕切りページとして挿入されている。見出しや詩の部分はアリストン版は英語版と同じようにアンダーラインされているがリング版は太字になっている。アリストン版は箇条書きの箇所には英語版と同じようにナンバリングされているがリング版はナンバリングはなくアスタリスクである。


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[ノストラダムス]

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